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クリエーターインタビュー vol.2


アコーディオン職人の原田親明さんにインタビューをしました。




原田親明


1978年3月10日京都府生まれ。

2002年アコーディオン修理師の故・八代丈一氏に師事

2007年より独学でアコーディオン・バンドネオンの修理、調律、メンテナンスを開始する。

同時にアコーディオン、バンドネオンの設計、製造研究を開始。

アコーディオン奏者 桑山哲也、檜山学、 バンドネオン奏者 小川紀美代、北村 聡、小松亮太、を顧客に持つなど 国内、海外の奏者の楽器修理を手掛ける。

様々な経験と技術を生かし メーカー修理不能品をもレストアする。

初の純日本製のアコーディオン・バンドネオンを制作する。






ーー「BELLOWS WORKS TOKYO」という名前の由来は何だったのですか?


原田:BELLOWSは蛇腹という意味でWORKS TOKYOはBLUE NOTE TOKYOの様な感じでかっこよくつけてみたんです。


ーーなるほど。この猫のキャラクターは何かのアイコンなんですか?すごいよく見ていてインパクト強くていろんなところにキャラクターとして飾られてますよね。


原田:これはジャバミというキャラクターなんです。うちで蛇腹アーティスト(アコーディオン奏者)の方々に出てもらってトーク配信をするために、自分があんまり表立って出たくないのでキャラクターを作ろうということでジャバミを作りました。


ーー今のBELLOWS WORKS TOKYOのお仕事は配信もやられているとありましたが、アコーディオンを修理するというのがお仕事なのかなと。


原田:そうですね。修理がメインで、これから楽器を作ろうとしてます。


ーーアコーディオンですか?


原田:最初はバンドネオンというアルゼンチンタンゴとかで使う楽器を作って、その後にアコーディオンを作る予定です。


ーーものづくりは前職のころからされていたんですよね。


原田:もともと溶接とかのものづくりの資格は持っていて、ものづくりはとても好きなんです。東京に上京してきたのが22歳の時で、ちょうどその時に鉄道の派遣をやってる会社に入って鉄道の仕事につきました。東急車両とかJRですね。2年間JRの社員と一緒に仕事をしてきました。


ーーその時に塗装とか色々な道具を使っての、ものづくりを経験したんですね。


原田:そうですね。その時に塗装の資格も取りましたし。その仕事をしながら副業で楽器の修理をしてきたので。


ーーそのころから?


原田:18年くらい前からですね。


ーーアコーディオンって本場ってどこなんですか?


原田:アコーディオンの本場はイタリアです。イタリアにカステルフィダルドというアコーディオンの町があって、町ぐるみでアコーディオンを作ってるという感じです。


ーー実際に行かれたことはあるんですか?


原田:行ったことはないんです。


ーーほぼ独学で学ばれたんですか?


原田:ほぼ独学です。でも国内に師匠の八代丈一という方がいて、東京に上京してきて2年後くらい、24歳の時に出会ったんですけど、26歳の時に53歳の若さで亡くなられて。たった2年しか一緒にいられなかったんですけど。その後は独学で。


ーー知り合ったきっかけは何だったんですか?


原田:自分のひいおばあちゃんが小学校の教師をやっていて、音楽の授業に使っていたアコーディオンが実家の蔵から見つかって。ボロボロだったんですよ。それを東京に持ってきていたんです。いつか自分で直そうと思っていたんですけど、たまたま自分の知り合いでバンドネオン弾きの方がいて、その方が八代さんを紹介してくださって。そのひいおばあちゃんのアコーディオンを持ってお邪魔したのがきっかけです。


ーー日本でアコーディオンを直される方って何名くらいいらっしゃるんですか?


原田:今は10名以下になってますね。


ーーそしたら技術を残していくのは大変ですね。


原田:そうですね。やりたいって人もなかなか現れないので。


ーーちなみに、アクリルをアコーディオンに生かせる場所ってあるんですか


原田:この鍵盤の部分です。アクリルは安定していて反ったりしないので。アセチとかだと反ったりするし経年劣化もあるので、変形しないアクリルの方が鍵盤には適してます。アクリルにはきれいな模様も結構あるので。


ーーアコーディオンって色々装飾とかがあって見た目が華やかじゃないですか。カラーリングとかデザインってヨーロッパの影響が強いんですか?


原田:そうですね。どちらかと言えばヨーロッパの文化を含んでますね。でも、あんまり関係なくて色々な色、デザインも出てきてます。


ーー前に来た時に伺ったのがこの辺の古い蛇腹が何百年も前のものだって。


原田:そうですね。それが1900年代初頭のものになりますね。


ーーそうするともう100年近い。


原田:そうですね。100年以上。


ーーこういうのも直せば使えるんですか?


原田:もちろん直せば使えますね。


ーーすごいですね。やっぱりアコーディオンって壊れる場所は決まってるんですか?


原田:基本はオルガンと同じ原理でふいごがあって、風を送ってリードが鳴ります。壊れやすい部分っていうのはそのリードだったり、蛇腹が稼働して伸び縮みしている部分、しかも素材が紙なのでどうしても破けてきたりとか綻びが出てきます。


ーー機械を購入されて新しい楽器を作るという意気込みで色々な道具を揃えたと思うんですけど、主には木工の機械が多いんですか?


原田:木工の機械ですね。もちろんアクリルにも使えます。


ーー今回購入した中で一番高かったものっていくらくらいなんですか?


原田:大体200万円近いものですね。水圧カッターなんですけど。


ーー機械か結構高いけどあるとすごく便利ですよね。


原田:そうですね。やっぱり最低限の機械はないとなかなか色々な加工もできないです。


ーーこの前お話を伺ったのは、日本製の機械があまりないと。


原田:結局日本人は手先が器用なんで全部機材とかを揃えなくてもノミとか...。


ーー技術でカバーしちゃうんですね。


原田:そうなんです。それで作っちゃうから機械が必要ないっていうか...。日本人は機材が進化しないんですよ。アメリカは不器用だとは言わないですけど、何かちょっとでも怪我したら変えてくるわけです。怪我をしないようにどうしたら良いかだったり。どんどん進化していって安全性も考慮された機械が結構いっぱいあるんです。


ーー細かな作業って技術でカバーできるところもあるけど、やっぱり道具で効率を図っていくっていうのも大事ですよね。


原田:そうですね。


ーー僕らが作らせてもらってるアクリルは装飾とか見た目で喜んでもらえる素材が多いので多分外側で使ってもらえることが多いと思うんですけど、やっぱり鍵盤とかでも精度って必要になってくるんですか?


原田:もちろん。鍵盤の隙間とかも並べて歪んでたりすると隣と干渉したりっていうのもありますし、やっぱり精度は必要です。


ーーこれからは楽器も作りつつ、演者さん達に販売をしていくんですか?


原田:売れてくれればいいんですけど、売りたいっていう気持ちがあまりなくて...。作りたいという思いでただ作るっていう感じです。買いたいという方は結構いらっしゃるんですけど、その価値をわかっている方にお譲りしたいなと思うので、お金を出せば買えるという方にはあまり売りたくないです。


ーーアコーディオンってめちゃくちゃメジャーな楽器なわけではないじゃないですか。それを原田さんたちはYouTubeとかで配信をして色々な人たちに知ってもらいたいという活動をされていると思うんですけど、コロナが落ち着いたらTOKYO ACRYLにきてぜひ演奏してもらいたいなと思うんですけど。うちのお客さんってクリエーターさんも多くて、楽器の一部にアクリルが使われているとか、それに付随してグッズが作られているというのも面白いなと思って。ぜひその辺も企画させてください。


原田:ぜひぜひ。


原田様、インタビューをお受けいただきありがとうございました。最近は意識してみているせいかアコーディオン奏者の方をよくみるようになりました。私自身、原田さんのオフィスで生演奏を聴いてアコーディオンの素晴らしい音に虜にされました。ぜひ皆さんも機会がありましたら生の音を聞いてみてください♪


ジャバミ
ジャバミ


100年以上前の蛇腹
100年以上前の蛇腹





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